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Unity Runtime Feeと最近のsource available software

Unityが儲かっているアプリからは今後Runtime Feeを取るという話で炎上している。発表直前に経営陣が株を売却したというスキャンダラスな話題も相俟って株価は下落しているようだ。発表前に株を売るくらいならそんな意志決定をするなよと思ってしまうし、インサイダー取引に当たるのか気になるところではあるが、どのみち今の価格体系を維持しようにも収益的に厳しく、価格体系の見直しを発表すれば財政状況に関心が向くと考えたのだろうか。

ちょっと前にHashiCorpのライセンス変更が話題になったけれども、UnityもReference-onlyと制限は強いもののsource available licenseではある。広告を埋め込めばトントンで回収できるという説明をしているようで、広告依存の収益でスケールさせるための苦肉の策だろうか。Twitter界隈ではUnityのスキルを身につけたエンジニアがかわいそうだという話も出ているが、保守できなくなって技術が廃れるよりは、研究開発やら新たなプラットフォームへの対応に投資し続けた方が、技術としての持続性はある気がする。後から増税されるのが気に食わないのも分かるがジリ貧になられた方が困るだろう。

Unityが生まれたのは2005年というから、かれこれ20年近く経つ。あのタイミングでマルチプラットフォーム向けのゲーム開発環境にC#を採用するのは興味深い技術選択という印象は受けた。C++じゃなくて十分な性能が出るのか、Monoがどこまで商用で使い物になるのかよく分からない時代で、.NETが今ほどマルチプラットフォーム色を出していない、Bill GatesはやりたそうだったけれどもSteve Ballmer全盛の時代である。

わたしが時間を持て余していた中高生時代は、開発環境なんてどれも高価で手が出なかったから、Unityのような実際に商用ゲーム開発で使われていて、恵まれた開発環境を出世払いで使えるのであれば悪くない話ではないか。今回の賭けが上手くいくかどうかは数年くらい様子を見る必要があるけれども、どのみちMetaverse系やらゲーム系の開発で有用かつ多くの開発者を抱えた技術スタックであることに間違いはなく、コケたとしてもMicrosoftかMetaあたりが買いそうな気がする。とはいえ今後もPlatformから独立したオープンな選択肢が存在し続けた方がいいし、今回の賭けに勝って安定した財政基盤を築いて欲しいところ。