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賢いウォレットとワンスオンリーを妄想

マイナンバー制度の構想段階から、なぜ総合合算制度をはじめとした、本格的なプッシュ型行政が難しいか悶々と悩んでいたのだが、結局のところ役所が持っている情報って受け付けた申請の真正性を確認するために必要ではあっても、それぞれの制度に対する該当性を正確に判断するには十分ではなく、しかも多くの制度において必要とされる情報のデータコントローラーは必ずしも給付主体でないということがある。

バックオフィス連携によって必要があれば他機関の情報を収集できるようにはなったが、申請を受けて添付書類を削減することはできても、あらかじめ機関間で連携してプッシュ型のサービス提案を行うことは難しい。一方でそういったプッシュ型の提案を行えるようにするためには、その人に関する様々な情報を本人の意志と関係なく連携させる必要があって、それはそれで別の法的問題を惹起する。

例えば本人の手元に様々な機関が発行した本人に関する様々な情報を集約して、それらの情報は共通のデータモデルに従って整理されており、その本人情報と、様々な制度に対する該当性を判断するためのロジックが配信されて、その本人情報と該当性判断ロジックを掛け合わせて、その人を対象とした制度を提案し、本人が提案に基づいて申請を行う際に、添付書類として必要な属性情報を真正性確認が容易なかたちで提出できる仕組みがあれば、本人が介在することから厳格なプッシュ型とは言い難いけれども、かなり使い勝手のいい官民をまたいだ添付書類の削減・ワンストップサービスを提供できそうな気がする。

しかも該当性判断のロジックをウォレットと申請受付システムで共通化できれば、誤った申請を受け付けることや、申請を受け付けた上で棄却せざるを得ないケースを減らすことができそうだ。これを実現するために必要なデータモデルと該当性判断のロジックを考えてみよう。単に基幹システムが持っているデータから生成できるだけでなくSMTソルバーが該当性判断に使えるデータモデルとする必要がある。